首藤 一幸
2026年 9月 22日(火・祝)
テックガレージをやるにせよ経産省AKATSUKIをやるにせよ、資金が要ります。 いまどき、イノベイティブなことを成す際のお金の役割は下がっていますし、また、発掘・育成を行う我々はお金では買えない価値を提供するのだよ、と言いたい気持ちもあります。 しかし、残念ながらまだまだお金は効きます。 お金を渡せば、生活費のために働く代わりに、育成プログラムの狙いに沿った開発をしてもらうことができます。 育成される側にしてみると、やりたいことをやってお金をもらえる、という一石二鳥です。
立志編に書いた通り、2024年10月から2025年9月まではテックガレージを立ち上げようと活動していたため、なんとなく、数千万円という規模の資金調達をイメージしていました。 資金調達と言っても、想定は、営利事業を行う際の融資・投資ではなくて、非営利事業に対する寄附金や協賛金(広告宣伝費)です。
経産省AKATSUKIをやるにしても資金は要ります。 採択されてしっかり実施・報告すれば経産省から補助金が支払われますが、それは後払いです。 まずは自己資金で実施する必要があります。 年度途中での中間払いもありますが、本格的な支出はそれ以降なので、年間の支出金額に近い資金が要ります。 事業規模に依りますが、年間1,000万円から3,000万円程度です。 ちなみに補助率100%ではないので、支出した全額が補助されるわけではなく、持ち出しは発生します。
2024年10月の始動から8ヶ月経った2025年6月、資金調達は何も進んでいませんでした。 そんな折、GMO熊谷さんとお話する機会があり、思い切ってご相談を差し上げたところ、やりましょう!とおっしゃってくださいました。 その後、経産省AKATSUKIをやるという決心をした9月以降、どの法人でやるのか?資金の頂き方は寄附金、協賛金(広告宣伝費)、借入、出資、どうするのがよいか? などの検討を始め、GMOの方にも相談しました。 GMOとの間では協賛金(広告宣伝費)という結論になりました。 そして、GMOはプラチナスポンサー(トップスポンサー)になってくださいました。
GMO熊谷さんにお話したその場で、ドリコム創業者 内藤さんにもご相談できました。 内藤さんは京大OBです。 内藤さん曰く、京大OB起業家の会が存在し、次の会合が1月にあるからそこで参加者に向けて話をするといい、とのことでした。 内藤さんは精力的に動いてくださり、マネーフォワード創業者 辻さん、SHIFT創業者 丹下さんにお話を持っていってくださいました。 そして2026年1月24日(土)、京都は金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)にて、京大OB起業家の会、すなわち第9回 吹零会があり、そこで、内藤さん、辻さん、丹下さんはじめ皆様の前で京都未踏の計画を紹介することができました (日記2026年1/24分)。 かくして、3社ともスポンサーになってくださいました。
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| 山本さん, 丹下さん, 内藤さん | 辻さん |
この時点で、スポンサー集めはいつやめても構わない状況でした。 資金が充分集まったという意味ではありません。 どうせ足りないので借入が必要であることは変わらない、という意味です。 しかし後悔はしたくありません。 多少でも見込みがあるように思われた方や企業にアプローチを続けました。 創業者、重役、オープンイノベーションの部署、財団の方、過去に株式売却益があった方などに連絡を差し上げ、ときに(稀に)ミーティングを持ってご説明し、見送りのご判断を頂きました。
この足掻きの結果として、さくらインターネット創業者 田中さんがスポンサーシップを決めてくださり、また、藤井さん(未踏アドバンストPM)による京都未踏の紹介を経てTrustHubがゴールドスポンサーになってくださいました。
スポンサーシップにはっきりとしたリターンがあれば、誰がアプローチしてもいい回答を頂けるのかもしれません。 しかし、京都未踏にそれはありません。 まだ一度も実施すらしていないのです。 京大や京都を盛り上げたいお気持ちを頂きつつも、どうしても、首藤だから助けてやろう、というご厚情にも頼ることとなります。
このやり方を指してある方から、友人をお金に替えるやり方だ(そうではないやり方を目指すべき)、というアドバイスを頂きました。 同時にこうしたアドバイスも頂きました。
このアドバイスを下さった方と別の方から共通して頂いたアドバイスは、アプローチすべき相手は人事担当者である、ということです。 人を1人採用するためのコストは100万円のオーダーになるわけで、それを考えると、数年に1人いい人を採れれば支出した協賛金に見合います。
こうやって資金調達を進めてもAKATSUKI補助事業を1年間実施するのに必要な金額には届かないだろう、ということは早くからわかっていました。 足りない分は借入でなんとかするしかありません。 最終的には首藤個人から数百万円を貸し付ければいいか、と考えていますが、金融機関からの借入にトライする方が健全かもしれません。 それに備えて、地域の金融機関に口座を作ることも試みています。 今日時点ではまだ借入は行っていません。 9月末締めのAKATSUKI中間払い、および、10月末の法人事業年度終了を経て、年度内の追加必要額を算出するつもりです。
AKATSUKIをやるために法人を設立するという判断をしました。 理由は、京大という法人でAKATSUKI補助事業を実施することはほぼ不可能であること、既存の法人に頼るとその都合に振り回されかねないことです (これらについてはまた別の記事で)。 設立する法人の種類は、非営利型・理事会設置の一般社団法人としました。 資金を頂いたり人材育成を行うにあたって信頼して頂くためです。 また、非営利型にすることで、もし寄附金を頂けたなら法人税非課税にできます。
寄附金なら非課税でありがたいのですが、しかし寄附する側にしてみると、大学への寄附とは違い、一般社団法人への寄附に税制優遇はなく、損金算入できる金額は極めて限られます。 一方、寄附金ではなくて協賛金、具体的には広告宣伝費として支払えば、全額を損金算入できます。 その方が税務上有利です。 また、寄附に対しては見返りを求めることができないため、多数の株主がいる上場企業の中で寄附の案件を通すのは大変です。 それがガバナンスというやつです。 かくして、これら2つの理由から、寄附金を頂くことは困難で、広告宣伝費を頂くことになります。 翌年以降に向けて残せた資金には、法人税が課税されます。
見返りのない寄附金ではなくて見返りのある広告宣伝費を頂くということは、何かメリットをお返しする必要があるということです。 本来は逆で、メリットがあるから広告宣伝費を支払ってくださるわけです。 しかし、実効性があって確度の高い提供メリットを挙げることは、なかなかの難問です。
メリットとして、人材へのアクセスはどうでしょうか。 まず、未踏的なプログラムは突出した人材の発掘・育成が狙いであって、その過程で直接的にスポンサー企業への就職に向けて誘導する余地はありません。 とはいえ、すぐに就職とはならずとも、プログラムの中でスポンサー企業に対する理解が深まれば、入社先や協業先となる可能性は高まるでしょう。
アクセスできる人材の人数も、そう多くありません。 京都未踏の採択者は2026年度で言えばせいぜい14人です。 これについては、マネーフォワードの方から興味深いご意見を頂きました: 「京都未踏に通った人は我が道を行ってくれればよいが、落ちてしまった人に、うちのインターンシップもあるよ、と伝えたい」。 このご意見を踏まえて、エントリーしてくださった方々と応募してくださった方々、合わせて87名に、スポンサー企業からの案内メールをお送りしました。 不採択が決まってから案内メールを受け取ったのでは気分がよくないでしょうから、採否通知より前にお送りしました。 スポンサーからの案内をお送りすることは、プライバシーポリシーに明記し、応募のエントリー時に許諾を取りました。
二次審査は面接であり、貴重な対面の機会です。 来てくださった面接参加者全員に、各スポンサーからの紙の資料をお渡ししました。 マネーフォワードに至っては、なんと京都未踏オリジナルのタオルとステッカーを作成して下さり、それもまた、面接参加者にお渡ししました。
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| 各スポンサーからの資料 | 配布準備 | タオルとステッカー |
人材アクセス以外にも、よそが挙げているようなメリットはすべて挙げました。 シンボルマークのウェブ掲載、成果報告会での企業賞の授与、全体会合への参加、資料やグッズ配布です。 より抽象的な項目は次の通りです: ブランド向上(イベントでの社名露出、地域・次世代支援のCSR価値、PM・大学教員との連携強化)、投資機会(プログラム発スタートアップへの投資機会)、社員との交流(社員からのアドバイス機会、社員の啓発)、育成を通じた社会・産業貢献。